夢の時間

アップを済ませると猿藤に指示を仰いだ

「今日は泳ぎこまずにスタートの練習をしろ」
「はい」

この前のレースで無様なスタートをしたことが気になっていたのだろう

猿藤はジャージの裾を上げ、足元を濡らしながらスタートの指導をした

「腕を引くと同時に身体を壁に寄せろ 顎は引きすぎるな 合図で壁を蹴って上に跳ぶような気持ちで身体を反らせ」
「はい」

言われたようにやってみると見事に背中で水面を叩いた

これが意外に衝撃だった

顔を歪ませ水面から顔を出すとみんなが笑っていた

「新井!いい音したぞぉ 痛かったろ?」
「はい・・・」

「顎が引けてないんだ あと蹴りが弱いから勢いがなくて落ちてる」
「・・・」

恵理子は言われたことを一つ一つ確認するように何度も練習した

その日の練習終わりごろにはマシなスタートができるまでになっていた

「いい上達だ 今週はスタートだけ練習しろ」
「はい」