「昔の馴染みで安くしてくれるんだと。腹は立つが佐田春樹の成績はすごく優秀らしい。教えてもらって損はないだろう」

「成績優秀なんだ……」

昔はあんなに馬鹿だったのに……。ちょっと信じられないなぁ、と愛花は思った。


しかし、春樹君と会うのは何年ぶりだろう?八年ぶりかな?


「でお父さん、いつ来るの?」


「明日の午前11時にこの家に来るだそうだ」

ブッ

今度は父の顔面に一気飲みをしようとしていた牛乳を吹き出してしまった。

「いやん、パパ…」

父の顔面は白く濡れていた。
そして臭い。

「お前な……何にそんなに驚く」

「だってね、急だもの。もっと先の事だと思ってた」

「残念ながら明日だ」

「そうなんだ、ま、わかったから、もっかいお風呂入ってきて…。お気の毒だけどとってもクサイの」

愛花は鼻をつまんで
父の髪から落ちる白い滴をティッシュで拭き取った。