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「それで、別れてって言われたわけ」
クラシックの音楽が流れる、落ち着いた雰囲気のバーのカウンター席で、目の前に置かれるのは鮮やかな色の水。
隣に座る梨華の問いには応えずに、あたしはお酒をあおりながら言った。
「昨日の電話から、おかしいとは思ってたのよ。
改まっちゃって、『話したいことがある』なんてさー。
薄々は感づいてたわよ。
最近彼、やけによそよそしかったし」
自分が今、どれだけ真っ赤な顔をしていて、でも心の中は真っ青だなんて知るよしもないまま、親友に話し続ける。
「大体さー、別れ話がハチ公前ってどうよ?
頭いかれてるわよ、あの男。
もう少し気遣えっつーの」
「雨衣飲み過ぎ」
言葉が大分乱れてきたあたしから、コップを取り上げる梨華。
