誰に、とは聞かない部長。
どうして急にそんな話になるのか、あたしの方が不思議だった。
「なんの、ことですか」
「とぼけるな。……昨日泣いていたのは、男が原因だろう」
無情にもどんどんあたしを追い詰める彼。
やはり、あたしが彼にフラれたのを分かっていたんだ、部長は。
彼の口から発せられる言葉に、迷いはなかった。
逆に、あたしが動揺して声を震わせる。
「桐生部長には、関係ありませんから」
あたしの世界に踏み込まないで。
そう訴えかけるように、拒絶する。
フラれたなんて、恥ずかしい。
別れたなんて、恥ずかしい。
……まだ好きだなんて、恥ずかしい。
自分が壊れていくみたいで、どうにかして蓋をしようとする。
だけど彼は、いとも簡単にあたしの世界に足を踏み入れてきた。
その、威圧的な瞳と思わぬ言葉とともに。
「関係ある」
「は……」
真顔で告げたその言葉は、どう考えても、どうやったらそんな言葉が出てくるのか思いつかなくて。
