「ぶ、部長っ!す、すいませんでしたっ!」
ドアを開けると同時に頭を下げて謝る。
まともに顔なんて見れたものではない。
絶対、眉間にしわを寄せて唇引き結んで、腕を組んで立っているはずだから……。
「…………」
だけど、一向に聞こえない彼の怒鳴り声。
あれ?
不思議に思って顔を上げるとリビングには誰もいない。
ソファーに近づくと、ローテーブルの上にある朝食らしきもの。
トーストとジャム、それから小さなメモが置いてあった。
『会社、遅刻しないように』
たったこれだけの文章。
メモを見ながら、しばし呆然とする。
桐生部長は、すでに出社していた。
