Love Water―大人の味―





こんな姿、同じフロアに住んでる人に見られたくない!



頭では思うものの、身体は言うことを聞いてくれない。



これじゃあ、惨めな雨衣はポエマー雨衣だけの中だけでは留まらなくなってしまう。



絶対に、可哀相な人だと思われる。



その証拠に、エレベーターを出た足音が1度止まる。



そして、ゆっくりと近づいてくる。



なんとか身体だけ起こして、床に座った形になる。


足音には背中を向けているから、あわよくば、ここまで来る前に部屋に入るかもしれない。



そう思って、じっと俯いてやり過ごす。



どうか、話しかけないで。



絶対あたし、ひどい顔してる。



それに、とっても惨めだから。



雨に濡れた髪から、水がこぼれ落ちる。



それは床の色を濃く染めて、あたしの周りだけ色が暗くなったみたい。



だから、こんな姿見られたくないから。



早く、行って。