だから、本当にこんなことがあるなんて思ってなかった。

 彼の傍に置いてあったわたし専用のサイドシートが、彼の重い荷物で埋め尽くされて、なくなってしまった。

 そこに確かにあったはずのわたしの居場所は、今はもうなかった。

 わたしは、なんとしてもそこに戻りたかった。

 どんな場所よりも居心地がよかった。