50メートルの距離

「パパ、ちょっとトイレに行ってくるな」




「ねぇ、ママ。コレ、そんなに高いの?」

「そりゃぁね、あんた!ブランドモノっていうのはどんなに小さくても軽く1万はするんだよ~」


・・そりゃ、そうでしょう


羽希が話に混ざってくる

「ママ、おうちにいったら、ちゃあんとうきにもくちべにつけてね♪」



「あの人ったら、ちょっと顔が良いからって、きっと沢山の女がいるんだわ。」


「・・・被害妄想じゃ?」

「いいえ、きっとそうよ。私たちが別れた理由はそんなんじゃありませんけど、別れて正解だったわ!」



・・・・怖い。


「絶対、女がいる!」

ママの目から炎が出ている


「ほんっと、別れて正解だった!」



「・・・ママがそんな風に思ってたなんて知らなかったよ」




ぱ、パパが戻ってきた


ママがうろたえる


「俺は、もう一度やり直したかったんだ!そうでもなければ仕送りなんてしないし、こうして君や子供達に会うことだってしないだろう!」




「・・・でもっ」


「プレゼントは本当に俺が汗流して働いた金で買っているんだ。女なんていない。いつだってママのことしか考えてないのに、なんで!」



パパは真っ赤になって話している

羽希は涙目だ


「今日でさようならなのかな。美希、羽希、元気で!」



テーブルに一万円をたたきつけてパパは帰っていった