50メートルの距離

あたしは、4人で一緒に暮らしたい。


「大黒柱」のないおうちなんてすぐ倒れちゃうよ


それに、母子家庭っていうレッテルだけで周りから偏見と同情の目で見られるのには、もうあきた。




「ママ、あたしクリームシチュー頼むね」

「じゃぁママはドリアにしよっかな♪
羽希ちゃんはお子様セットでいいでちゅね~」

「えぇっ!!うき-、ぱふぇがいい!!」

「ははっ、羽希、パフェはご飯食べた後だよ。お前も一丁前になっちゃて」



パパは豪快に口を開けて笑う

マジでのみ込まれそう

たとえるなら、河馬。


え、毒舌? そんなの昔からだよ。




「美希、学校はどうだ、楽しいか?」

「楽しいよ。あっ、この前急に午前授業になっちゃってね、その理由が面白くって・・・」


そういえば、アレ以来触れられてない・・
伊藤先生・・・


「ん?美希?」

「あっ、なんか先生が台風来るとかって。なのに空は晴れてるし、ミンナで超怪しい~ってゆってたの!」

「はははっ。きっとそれは大人の事情だなぁ~。美希もやっと背伸びてきたんじゃないか?」

「前から伸びてるもん」

「うそつき! 美希って生まれたとき、うきよりチビだったんでしょ、ママ」

「羽希は生意気ねぇ」


「はははっ。そこで、大人の美希にプレゼント~♪開けてごらん」

うわ・・

いつもよりデカい。



「みきばっかりズルい!!パパ、うきもほしい!!」

「はははっ。しかたないなぁ、ほら、これが羽希のだよ」

羽希は満足そうに笑っている


あたしのは・・・