50メートルの距離

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さ-ちゃんが電話越しに泣いている

「美~・・・、ぐすっ、美希ぃ!!!」

ひろちゃん、当たり

そう感じた


「さ、祭也がねっ・・・ぐす」


黙って話を聞く


「俺にぃ・・・お、お前は、もったいない・・って」

「・・グスン、ただ・・・そんなの、ただあたしをフるための・・・ぐす・・・口実だけなのに、最っ低なの・・・」




そう言ってもらえるだけでも感謝しないといけないと、あたしは思う。

小学校の同級生で、ラブレターを読まずに目の前で捨てられたってあたしに泣きすがりついてきた子がいた。

さすがにそれはかわいそうだと思った。





最後にあたしはこういった「さ-ちゃん可愛いんだから次があるって」




受話器の奧ではすすり声しかきこえなかった。




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近所のファミレスに来ている

パパと会うためだ



「やっほう、かわいい僕のベイベちゃんたち」

「ぱぱぁ♪あのね、うきね、」


いきなり全てを話だそうとする羽希を一度沈める



きっと大人同士で話したいこともあるはずだ

「やぁママ。元気してたかい」

「えぇパパ。あなたも元気そうじゃない」


離婚した理由は、私にはわからない


今こうして見ると、普通の夫婦だ
お似合いだと思う