50メートルの距離

告白したら、どっちにしても

芝生の私たちのところへ来て、解散するって



さ-ちゃんとそう約束してたのに
その後、さ-ちゃんも藤山も、姿を現すことはなかった。



もう9:00になる


ひろちゃんとはとりあえずどうでもいい話しかしなかった

そして、話題が切れると
「寒いね」って

それしか言わなかった


「・・・来ない。ねぇ、帰ろうよ。」

「・・うん」

「ここに来てから1時間も経ったのにおかしいもん。
・・・帰る」




「送るよ」


その言葉が信じられなかった

「え、何」


「送るってゆってんの」




あたしが初めてひろちゃんを怖いと感じた

いや、男って認識したんだと思う


「あ、ありがとう」



「暗いし寒いし危ないから・・」

最後の方は照れたのかもごもごしゃべっていて聞き取れなかった。




それでも、嬉しかった

なんにも喋らなかったけど




家に着いたとき、ひろちゃんが

「バイバイ」じゃなくて「またね」って言ってくれたのが

本当に嬉しかった

それで、寂しかった。