50メートルの距離

ヒュ~ッ・・・・どかーん


夜空に大きな花が咲き乱れる

そして、少し遅れて音が来る



「綺麗だねぇ」


って思わず言っちゃったけど、それどころじゃないっ!
実行しなければ!


「あ、あたしっ!!」

うっわ。手挙げて起立しちゃったよ

ダサっ


「トイレ行きたい!!・・・あ、一人じゃ怖いからひろちゃん付いてきてよ!」
「は、俺?」
「いいからっ」


そう言って無理矢理ひろちゃんの細い手首をつかんで
人混みの中を走った

後ろから声がした
藤山の声。

「あいつら、怪し~っ♪トイレと方向真逆だっつーの」

しまった・・・トイレの方角なんて考えてなかった



ようやく隅っこにたどり着いたところで
芝生の上に横になる


はぁっ・・・・疲れた


「・・・おい」
「は、はははぁい!」

うわっ。また間抜けな返事を・・・

「トイレ逆」

・・・ひろちゃん

あたしを疑わないの




「ごめん、トイレじゃない」

「は?」


うん、「は」だよね。

「何でも良いけどココ花火見えなくね?」



「や・・・」

本当だ


音しか聞こえない。