「なっ!さすが俺!」




いつもの様ににひっと笑う神坂を見て、悔しさ半分、かわいいななんて変な気持ち半分。




「ちなみにどんな閃きだったんだ?」




でも、今日の神坂はやっぱり変だ。

いつもならそんな事、訊いてこないのに。




「今日、なんか変じゃない?いつも小説については深入りしてこないのに。」


「いつもは学校だろ?中みな、学校の奴らには小説書いてること言ってないみたいだし、知られたくねぇのかと思って。ここなら、思う存分聞けるだろ。」




そう言って、神坂は綺麗に盛られているフルーツを1つフォークで拾うと、ぱくりと食べる。

あたしはというと、神坂がそこまで周りをよく見ていたことに驚いていた。

それと同時に、あたしのこと解ってくれてるなぁ、なんて心がじんわり温かくなる。




「……ありがとう。」


「お礼なら、またスイーツ巡り付き合えよ。それより、閃き教えてくんないの?結構気になってんだけど?」


「あー……う…ん?」




なんとなく照れ臭くて、フルーツを口に運んでもごもごとする。




「今、描いてるやつのデートシーンで使おっかなー……って。ここ、雰囲気も可愛いし。」



「へー!なるほどなー!で?」


「で?!これ以上は言わない!恥ずかしい!」


「ちぇー。なんだよケチー!」


「ケチで結構!言わないったら言わないから!ほら、ケーキ食べちゃおうよ!」




口を尖らせてブーブー言う神坂を無視して、あたしはケーキにフォークを入れた。