ぐいぐいと引っ張られて、北区の方へと向かう。

今度は一体なにを食べに行くんだろうと考えていると、ふいに神坂が話し掛けてきた。




「中みなはさー、なんで小説書いてんの?」


「なに?急に……。」


「やーなんとなく?やっぱり閃きを与えてる身としてさ、気になったりするじゃん?」


「はぁ?」


「俺のご加護が、中みなにどんな影響与えてんのかなーとか。」




珍しいな。

神坂はいつも、私の小説に関しては何も聞いてこなかったし、ネタ帳を覗いてくる事すら無かった。




「しょ、小説を書き始めたのは……恥ずかしいからやっぱり言えない!」


「えー、なんでだよ。」



神坂は口を尖らせた。




「じゃあさ、どんな小説書いてんの?俺が与えた閃きって、どんな風なの?」


「それも秘密!神様なのに、そういうの分からないんだね?」


「まぁね。俺は閃きを与えるだけだからなー。加護を貰った奴がどう捉えるかによって、閃きは変わっていく。」


「ふーん。」




なんか、今日の神坂はいつにも増して神様みたいだ。