神坂は、仲の良い友達を前方に見つけたみたいで今にも駆け出して行きそうだったけどハタと止まった。

そして、




「悪い、先行くぜ。放課後ちゃんと待ってろよ?じゃーな!」




なんてキラッキラの笑顔で手を振るもんだから、あたしも思わず手を振り返してしまった。




「わっ!なに手なんか振ってんの?あたし!」




慌てて手を下ろしたけど、なんだかその手もそわそわしてしまって、行き場のない感じ。


本当、変なの。

普段ならあっちへ行けと言わんばかりに、それどころかシッシと追い払う仕草をしているのに。



あたしはギュッと手を握って、友達の元へ駆け寄る神坂を見た。

楽しそうに笑っている。




「人の気も知らないで…」




あたしはたぶん今ムッとした顔をしていると思う。

だけどなんでかな?

心はムズムズするような温かい気持ちになっていた。