ひとしきり笑った神坂は、そんなことより、と話を再開した。




「昨日、なにいきなり帰ってんだよ。俺、まだベリー味一口しか食べてなかったんだぞ。」


「えっと、だから…用事が…」


「ほんとかぁ?」


「ほんと、ほんと!」


「ふ~ん。」




納得した風な返事をした割に怪しい目を向けられ、なんだかいたたまれない。

あー、もう!




「ごめんってば!今度またクレープでもなんでも付き合うから!」




言った後で気づいた。

あたし、勢いに任せてなんてこと言っちゃったんだろう!

でも、もう手遅れ。

神坂は目をキラキラさせている。




「ホントか!?二言はねぇな!」




うっ…

そんな笑顔を向けられて、今更やっぱり無しなんて言えない。




「…ないよ。」




半分やけくそ気味にあたしは答えた。




「なら、今日の放課後!俺、掃除当番あるから昇降口で待ち合わせな!」


「今日!?いくらなんでも急すぎ。」


「……俺のベリー。」




なによ、その恨めしそうな目は!




「わかった、わかったから。行けばいいんでしょ。」


「決まりだな!」



一瞬にして明るさを取り戻す神坂。

変わり身早すぎ。

それでも、嬉しそうな神坂を見て、まぁいっかなんて思ってしまうあたしは一体どうしちゃったんだろう?