「こっちも食べたいんでしょ?はい。」




あたしは神坂にベリーのクレープを差し出す。

だけど、神坂は動かない。




「おーい?どうしたの?クレープいる?」


「えっ?いや、べ、別になんでもねぇよ!クレープは食う!」




そしてベリーのクレープにかぶりつく。

若干顔が赤いぞ。

どうしたんだろう?


あっ。




「そう言えば、お金。あたし払ってないよね。いくらだった?」


「んなのいーよ。奢る。」


「えっ?でも。」


「いーから。俺が無理やり連れて来たんだし。」


「…ありがと。」




なんだか妙に優しくて、照れてしまったのを隠すようにあたしはクレープをかじった。



なんだこれ。

クレープ奢ってもらって、無意識ながらあーんしてあげて…

まるで、デートみたい…




「ゴホッ!」




思わずむせてしまった。




「大丈夫か?」


「コホッケホッ!だっだいっじょ、ぶ!」


「いや、大丈夫じゃねぇだろ。なにイキナリむせてんだよ。」



神坂が背中をさすってくれる。

けど、今はそれも逆効果!




「ほっ、本当に大丈夫だから!あたし、用事思い出したから帰るね!じゃ、また明日!」




あたしはそう言うと逃げるよいにその場を去った。