長くて少し急な坂を、歩夢の乗った自転車が物凄いスピードで下ってゆく。
 アイトはまるで歩夢に取り憑いた幽霊の様に、ぴったりとその背中についてゆく。
 両手で鎌を握りしめ、しっかりと狙いを定めた。

「生きる希望を見つけたところで、悪いけど……」

 アイトは目を細めて、呟いた。勿論、死神の状態に戻ったアイトの声は、歩夢には聞こえていない。



 そしてアイトは、鈍色に光る刃を歩夢の首にかけ___思い切り、後ろに引いた。




 鈍い音がした。