『近いぞ、アイト』
「ああ、ここまで近付けば俺にも分かる。死の匂いがするな」
 鎌の呼びかけに、アイトは冷静に答える。時折空中で足を踏み外しそうになるが、地面に叩き付けられる前に何とかバランスを取り戻す。メグミと別れてから大分時間が経つからか、アイトの荒い息が目立つ様になって来た。
 空中を移動するときに消費される体力は、地面を走る二十分の一程度。それでも、何十分間も移動を続けていると、疲労感がこみ上げてくるし、足ももつれてくる。
 死神にだって、限界はあるのだ。