「りぃ、携帯貸して」


「え?携帯?」


「いいから」



コンビニまで歩きながら口を開いたかなたんは私の手にある携帯を奪い取った。



「何してんの?」



奪い取った携帯を何やらいじっているかなたんに声を掛ける。



「ん。登録完了」



そう言って満足気に微笑むかなたんは電話帳の登録画面を見せてきて ‥



「藤堂奏多‥?」


「そ♪俺のアドレス。何かあったら連絡しな?」



かなたんは ‥─
    ‥─ 優しい 。



「ありがと。かなたん好きっ」


「ははっ。ありがと。ほら、タクシーあれじゃね?」


そこでコンビニに到着。

もう着いちゃった‥



「だねっ。かなたん、ありがと」


「おう。ちゃんと話して来いよ」


「ありがとう♪」



頑張れって言ってくれるかなたんに、私は何故か罪悪感で一杯だった。



だってこれからする行為は‥多分、話ではないから。



かなたんの後ろ姿を見送りながら、タクシーはゆーちゃんちに向けて出発した。