部屋を出ようとドアを開けると、ハラリと何かが床に落ちた。

 ドアと壁の間に紙が挟まっていたようだ。それを拾い上げる。どうやら、理那からの書き置きのようだ。


 メモ帳を破いた紙に、丸っこい字で次のように書いてある。


『Dear 和人くん 昨日は楽しかったー。なんだか迷惑かけてばっかりでごめんね。また今度遊ぼう! せっかくだから、私の番号とアドレスを書いておくから、よかったら電話してね。じゃあまた。 川原 理那 携帯***‐***……』


「川原理那っていうのか……そういえば苗字は聞いてなかったな」


 俺はその紙を二つに折りたたみ財布にしまった。早く出ないと会社に遅れてしまう。