「待った?」いつもの待ち合わせと同じように、由美が明るい笑顔で俺の前に立った。 「いや、俺も今来たところだよ」お決まりの嘘をつく。 「そう、それにしては寒そうだけど……結構待ってたんじゃない?」 「そんなことないよ。さあ、予約しているんだし、早く店に入ろう」 「そうね」 俺は、まだ考えがまとまっていなかったが、とにかく、店の中に入ることにした。