理那は、共感したように頷き、持っていた携帯を開いた。そして受信メールのひとつを見せてくれた。


 眩しいくらいに明るい液晶画面には『悪いけど。君とは合わない。自分勝手な女性は苦手なんだ、別れて欲しい』と書いてある。



 理那は俺がそれを読んだ事を確認してから携帯を操作して、二通目を開いた。


『もう無理だ。ごめんなさい、僕にはもう君を恋愛対象としては見られない……それに、もう他に好きな人が出来てしまった』ちょっとヒドイ内容だ。


「これを見たら分かるでしょ? 私もさっき振られちゃったのよね」

 そう言って笑っている。既に振られたことなど、どうでもよいといった感じだ。

「いや、笑うことじゃないと思うんですが……」

「そうだけど、それにしても恋愛対象として見れないってのがむかつく。私と付き合ってる間は、私が一番だっていつも言ってくれてたのに。無責任もいいところよ!」


 かなり怒っているようだ。理那は上着のポケットからメンソールの細身の煙草を取り出し、火を点けた。


 細長い煙草の先端から、紫色の煙が立ち上る。彼女は、それを吸いながら、声を大にして叫んだ。