「いえ、塩分は足りてます」

 俺も変なこと言ってるな。酔っているのか?

「あはは、君、おもしろいね。ちゃんと答えるんだ。何か泣くようなことでもあったの?」


「ええ」答えたくないので、適当に相槌を打った。だが、彼女は予想通り言及してきた。


「ええ。って君、せっかくこんなにかわいい女の子が話を振ってあげてるのに、そんなつまらない返事しないでよ。馬鹿?」

 馬鹿。確かに馬鹿かもしれない。だけど、一応否定しておこう。

「馬鹿とはまた、心外ですね。あなたはなんなんですか? 突然人に酒を奢らせておいて……」

「いいじゃないの、カクテルの一杯や二杯、安いもんでしょ」

「あなたは誰に対してもそんな態度なんですか? 少し直したほうがいいと思いますけど」

「ちょっと待って、あなたって言うのやめてよ。私にはリナっていう立派な名前があるの。理知的の理に刹那の那。理那よ、覚えた?」

「へぇ、珍しい字ですね。」


 しかも、全くイメージと合わない……


「そうでしょ。結構気に入ってるの。君はなんていうの?」