リングは彼女に



「うるさい! こっちはお金払うんだから、文句言わないの!」


 そう言われると、バーテンダーも言い返せないようだ。黙りこくってしまった。それにしても、怖い女だ。


「もう、嫌になるわね……なんなのあいつ……絶対許さないんだから」

 そう言い、携帯を拾ったかと思うと、女は突然こっちを向いた。なんだか嫌な予感がする……。

 俺は目を合わせないように女とは反対の方向を向いた。

「ねぇ、君。ちょっと」

 しかし、予想通り女は声を掛けてきた。なんとなく話しかけられそうな気はしていたのだが。