「痛い。由美さん。結構腫れてますかね?」


 自然公園のベンチに座り、長谷川が問いかけると、由美は頷いた。


「結構、というか、かなり腫れてる……それにしてもひどい女ね。突然殴ってくるなんて……」由美は大きくため息をついた。


「まあ、昔からああいう人だったから、仕方がありません。運が悪くなければ、もう会うことは無いでしょう」


 長谷川はポケットティッシュの最後の一枚を取り出し、鼻に当てた。


「鼻血が……」鼻から滴る血は、まだ止まりそうな気配は無い。


「あとで病院に行きましょう。もし折れてたら大変だし……」


 由美は自分のカバンからポケットティッシュを取り出し、長谷川に手渡した。


「ありがとう。それにしても……この公園。なんでこんなにゴミがひどいんでしょうか……せっかく自然に癒されに来たのに」



 長谷川が言うとおり、公園には沢山の紙くずがばら撒かれていた。



 何か文字のようなものが書いてあるようだが、ほとんどが水で濡れてしまっていて、解読することが出来ない。