リングは彼女に



 唇が重く、とても開きにくいが、なんとか口を開いた。



「あのカップルの男の方……あれは、俺の同級生の……」理那は黙って俺の言葉に耳を傾けている。



 丁度その時、信号機が青になった。道路を挟んだ反対側から、由美と長谷川が歩いてくる。


 まだ俺には気が付いてないみたいだ。


 俺は伏目がちにし、二人にばれないように通り過ぎようと決めた。


 向こうよりワンテンポ遅れてから、車道へと足を踏み出す。



そして道路の真ん中付近で彼らとすれ違いそうになった時だった。