「これを、俺が持っているという事は、やはり彼女に対して、未練が残っているという事なのかもしれない。彼女にあげるはずだったこの指輪だけど……やっと決心が出来た。自分の中で、整理がついたんだ……」 指輪のある手を開いた。 「これを……君に……」 大事なことを言う時には、何故かいつも喉が渇く。 水が欲しくなったが、今は我慢するしかない。 唾液を飲み込み、ほつれた言葉を、再び紡ぎ直す。