「もう、それ以上言わなくていい。理那が良ければこれからも一緒にいよう」


 俺は諭すように、優しく言った。その時、彼女が泣いている事に気が付いた、声を上げるような事はしなかったが、静かに、しかし激しく。彼女の想いが強く伝わってくるような気がした。


「もう、こんなものは必要ない」


 俺は理那が脇に抱えている紙束を取り、全てを一度に投げ捨てた。それらは、鳥の様に旋回し、それからばらばらになって、深い闇の中へと消えた。



 俺は、俺の気持ちを、彼女に対してもっとはっきり表したいと思った。



 自分の気持ちにも、けじめをつけなくてはならない。