タワーの一番高いところから、空を貫くように、二本のレーザーが放たれている。それは三百六十度くるくると回転し、音も無く夜空を照らし続けていた。


 少しして、ベンチから立ち上がろうとした時、携帯の着信音が鳴った。


 心臓が一瞬高鳴る。


 背面ディスプレイを見ると、『川原 理那』と表示されている。どうやら電話が来たようだ。すぐに携帯を開き、耳にあてる。