奈央は歩行者用の信号を押し、青に変わると歩きだした。 そして、また静止したすばるに引っ張られた。 奈央は今朝の約束を行使するのを忘れていたことを思い出した。 「ごめん、ママすっかり忘れてた。今朝の人ね、きっともういないよ、すばる」 すばるは首を横に振って、横断歩道を渡ろうとしなかった。 「もーっ、しょうがないなぁ。ちょっと見るだけだよ」