奈央の8歳の誕生日の朝、父はプイと家を出て行った。



二人で誕生日を祝った夜、母は強気の口調で言った。



「大丈夫よ奈央ちゃん。あの人は自分でお金なんか稼げないわ。今に泣きついてくるわよ」



「お母さん、そんないい方しないで・・・」



しかし、父は二度と帰ることはなかった。






数日後封書で、父の側が埋めてある離婚届が送られてきた。





「やっぱり折れてきたわ。当然よ。あの人、やっと目を覚ましたのね」



母は、喜々として封を破いた後で、落胆の表情をあらわにした。



それでも母は自分から折れようとはしなかった。