「もう大丈夫なの?」



久しぶりに学校にきたかおりに、奈央が声をかけた。



「おやじが金をつぎ込んだんだ。ここは私立だからね」



かおりが寂しく笑った。



かおりは事実上は母子家庭だが、父親が有力代議士ということは周知の事実だった。



「権力っていいよなぁ、退学並みの問題も停学に変更できるし、更にその停学も取り消されるし」



猛勉強をして毎日フルに授業を受け、塾や家庭教師を増やしても、たまにしか学校にこないかおりを成績で抜くことができないガリベンの声だった。



「もういっぺん言ってみな」



奈央がガリベンの前に進み出た。



「あれ、かばうなんて怪しいな。もしかして、君もゾクに入ってたりして」



「奈央は関係ないよ。ぺらぺらと余計なこと言ったら・・・」



「へぇ、僕を脅すの?おもしろい、今度停学になったらいったいいくら必要なんだろうな、君のチ・チ・ウ・エは」



瞬間奈央が拳を振り上げて、ガリベンは鼻血を噴き出した。