「そんなにあたしのことが好き?」



「ああ、好きだ!大好きだ!!」



「どんなところが?」



「全部。何もかもだ!」



そんなありふれた単純な会話を、その夜アパートの部屋で二人は楽しんでいた。



電話のベルが鳴った。かおりだなと直感的に思った奈央は、受話器を取ろうと伸ばした中岡の手を押さえた。



ベルが止み、留守電の音声に切り替わった。



発信音の後で、案の定かおりの声が聞こえてきた。



「ナインPM迎えに行くよーん。ヤスシのバースディパーティやるからね」