てん ―The pure story―




「なぜ、ついてくるんだ」



憮然とした表情で男は言った。



「名前くらい教えてくれたっていいでしょ。わたしは竹下奈央っていうのよ」



「中岡宗一郎」



ぼそっと男は言った。



「わあ、古めかしい名前ね」



「大きなお世話だ」



中岡は奈央を気にせず、どんどん大股で歩いた。