工事が終わる日がきた。作業員が三角灯などの撤去を始めた。



――今、声をかけないともう逢えない――



奈央は外に飛び出した。



「あっ、あの・・・」



男の方に伸ばした奈央の手が、別の手にむんずとつかまれた。



「今、何時だと思ってるのかね。ちょっと来てもらおうか」



いつかの肥満補導員だった。



奈央の腕時計は午後11時を過ぎており、彼女は制服姿だった自分に気づいた。