「ケンて性格いいよね」



奈央が二人を交互に見て言うと、かおりは照れて言った。



「まあねっ。うちはレイダースに比べれば中小企業だけど、いい社長に恵まれてるもの」



「こいつっ、中小企業の団結力を知らないな!」



ケンがかおりの頭を軽くたたいて、彼女が反撃しながら甘えた。



奈央は微笑んでそれを見ていたが、やがてペットボトルを手にベランダに出た。






――あいつ、どんな性格してるのかなぁ――



手すりにヒジをついて星の薄い空を見上げながら、工事現場でシャベルを握る男の顔を奈央はハッキリと思い出していた。