タカシを寝かしつけた後で、一馬は毎夜飲み歩くようになった。 人との接触を嫌った一馬は、あまり人の入っていないような小さな店ばかりを選んだ。 笹塚くに子の赤提灯は、飲み屋街の外れにあった。 そこはいつもガラガラに空いていた。 一馬はあえてくに子の店を行き付けにした。 気取りのないくに子を、当初一馬は一緒にいて楽だと感じていた。