「ケンたら、もう名前を考えてんのよ。それも女の子の名前ばっか」




かおりがまだあまり目立たないお腹をさすって、嬉しそうに言った。




「すばるの名前って、漢字では素晴らしいって書くんだろ。いいなぁ、そういう愛のこもった名前って。俺なんか、親父の健造のひと文字もらっただけの安易な名前だもんな」




「なに言ってるのよ。それが一番素敵じゃない。・・・・ところで予定日はいつ?」




奈央が、かおりの下腹部をさわって言った。




「来年の夏のド真ん中。・・・実は、ケンの入院中に病院で出来たのよこの子。恥ずかしくって人に言えないわ」




「いいじゃないか!足折ったていどでベッドに縛りつけられて、体力有り余ってたんだ。それにお前が、随分優しくって・・・つい」




「ハイハイハイおのろけはそれくらいにして」




奈央が手で顔を扇いだ。




「ごめーん。ところで相談て何?」




かおりが奈央に向き直って言った。