「奈央、できちゃったのよぉ。つわりが酷くてずっと連絡できないでごめんね」




久しぶりの、かおりからの電話だった。




「できたって・・・やった、おめでとうっ!ケンは何だって?」




奈央は自分のことのようにはしゃいだ。




「もう、私に何にもさせないのよぉ。少しは、運動しないと難産になるって婦人科の先生にも叱られたんだけど、ケンたら聞かないの」




奈央は、二人のようすを頭に浮かべて思わず微笑んだ。




「それで、つわりは治まったんだけど、ケンに仕事辞めさせられちゃったの。気がかりのすばるが在園してたら辞めるの考えたんだけどもう安心だし、今は退屈で退屈で・・・明日の休みケンと二人で遊びに行っていい?」




「もちろんよ、ちょうどよかった。相談があるの」








奈央は風呂場から聞こえてくる、タカシとすばるの歌声を聴きながら受話器を置いた。