別に髪なんか自慢でも何でもない。


美容院に行くのがめんどくさくて長く伸びただけ。


また無視して歩いた。


「なー、髪もはねてるけどスカートもはねてるぞ」


「えっ?!」


スカート?!


すぐに止まってスカートの後ろを見たら、加瀬君が私の横を通り過ぎて行った。


「嘘にきまってんだろ」


はぁ?!


意味がわからない。


何でそんなくだらない嘘をつく訳?!


私よりも先に加瀬君が校舎に入って行って、


後ろから走ってきた良子と一緒に私も校舎へ入った。


下駄箱の前で、加瀬君は既にギャル系の女の子達に囲まれている。


それを見ながら良子が呟いた。


「ねー風花、純君て今まで彼女がいたことないんだよ」


「え?嘘だ…5股くらいかけてるんじゃないの?」


「確かにそんな感じだけど…笑。風花だけはどうしても彼女にしたいみたいだね」


全然嬉しくない。


どうせ付き合ったとしても、5股の一人になるだけ。


最初の告白の時、


“俺をフッたのはお前が始めてだ”って言ってた。


きっとプライドが高い男だから、それが許せないんだ。


悪いけど、そんなプライドなんか何度もへし折ってやるからっ。


女の子達の横を通ろうとしたら、コソコソと私の事を話す声が聞こえてきた。