「そのネコって、黒い毛並みで耳の先っぽが白いネコ?」


「は?何で風花知ってんのっ?!まさか俺がやられるの見てた?」


「違う…」


かなめ君が教えてくれた事を話しても、きっと加瀬君は信じてくれないだろうな…。


でも伝えなくちゃ。


「ありがとうって、飼い主さんが」


「は??飼い主?飼い主が見てたのかよ」


どう説明しても、無理だよね…笑


それから、その喧嘩の事をこっぴどくお父さんに叱られたらしい。


お母さんにも。


なんだかんだいって、加瀬君ちの両親は続いてるんだね。


ちょっとうらやましい。


大怪我して入院してる加瀬君のとこに、毎日来るんだって。


それでも加瀬君はお母さんの事を頼りないって言って照れてる…笑


いいな、家族って…。


それから3時間。


椅子に座ってひたすら3人でじーちゃんが出てくるのを待った。


「あっ」


ばーちゃんが手術室のランプを指さした。


消えた…。


中から先生が出てきた。


緊張感で頬が引き締まる。


「先生っ…おじいさんはっ…」


ばーちゃんと一緒に私も先生の傍に行った。


「今はまだ麻酔で眠っています。手術は成功しました。後は回復を待ちましょう…」


よかったっ………


とりあえず、一安心。


「はいっ、ありがとうございます、ありがとうございました…」


ばーちゃんが深々と先生に頭を下げた。


「先生…」


私も先生に聞きたい…。


「なんだい?」


「じーちゃんは…あとどのくらい生きられますか…?」


「うん…どうかな。ガンは初期のものだし転移もたぶん大丈夫。今後も放射線治療を受けてもらって………」


せめて…


私が結婚するまでは…


「定期検診もきちんと受けて、5年間再発がなければ100歳越えるかもね!」


そう言って先生が、私の頭をポカンと叩いた。


ひゃ……100?!


じーちゃんっ……




お願いだから100まで生きてっ…!!!!