放課後のブランコ

ばーちゃんは、じーちゃんに手術を受けさせる為に、


必死だったんだよね。


だから私は、ばーちゃんを責めない。


深と深のお父さんも、じーちゃんの事を思ってしてくれた事。


じーちゃんから言わせてみれば、偽装結婚?


やっぱり深は、私とは結婚する気はなかったね。


薄々だけど、気付いてたよ。


「ねぇばーちゃん。じーちゃん…元気になるかな…?ずっとあの家にいていいって言ってくれるかな…?」


頑固なじーちゃんだから、ダメって言うかも…。


「どうかねぇ。風花の自立を心配してたからねぇ。一度は独り立ちたせるもんだって、それは昔から言ってたんよ」


そうなんだ…。


私が就職を選んだ腹いせで「卒業したら出てけっ」て言った訳ではなかったんだね。


そこも誤解してた。


「でも病気になって…考えは変わったかもねぇ。泣くほど風花との別れが辛かったんだから」


「じーちゃんが泣いたのは久しぶりって言ってたけど…前にも泣いた事があるの?」


「あぁ、一度だけね」


一度だけ?


「いつ?」


「風花に怪我をさせた時だよ…………」


じーちゃん…


また胸がいっぱいになる。


じーちゃんが元気になったら


じーちゃんに説教をしてやるっ!!


私は怪我をした事は覚えてないけど、じーちゃんと一緒の散歩は楽しかったはず。


階段から足を踏み外したのも、私がおっちょこちょいだからっ。


きっと、じーちゃんに叱られながら一個飛ばしで階段を降りてたんだよ。


じーちゃんは何も悪くない。


4年間で埋められなかったじーちゃんとの溝は、


必ずこれから埋めてみせるよ。


だからじーちゃん、


本音で私にぶつかってきてね。


たくさん喧嘩しようね。


たくさん散歩しようね。


たくさん笑い合おうね。


どうか、


どうか、


少しでも長く、


長く


生きてね…………。