深が車を停めたのは、大きなマンションの前。


深の自宅ではなかった。


「やっと泣き止んだか…」


深がホッとしたように私を見て、笑った。


「今日からここがお前の家。俺と二人で暮らすんだぞ!覚悟しとけよ」


か、覚悟って、どの覚悟?!


ビクビクしてる私を横目に深は車を降りて、助手席のドアを開けてくれた。


「行こう」


ここが…今日から私が住むマンション…。


深が鍵をくれた。


「12階の一番隅の部屋だから。俺は今から会社に行くから…今日は家でゆっくりしてな」


「…うん」


「学校は明日から行け。運転手をつけるから、ちょっと遠いけどここから通うんだ」


「…はい」


全て深の言いなりだよ。


「じゃあなっ」


ひゃっ…


深の唇が、頬に触れた。


こんなとこで恥ずかしいっ…


慌てて深から離れたら、また深は笑った。


からかわれてるみたいっ。


もうっ!!


深の車を見送って、12階の自分の部屋に向かった。


こんな私が、こんなとこに住んでいいのかな?


深、何を考えてるんだろう??


私の部屋は、立派すぎるくらい立派だった。


フカフカのベッド。


オシャレな勉強机。


かわいいカーテン。


女の子ちっくな部屋。


深が用意してくれたの??


深、よくこんな部屋が作れたなぁ。


ドレッサーまで私好み。


何だか出来過ぎ。


女の子が用意してくれたみたい。


深の彼女…?


そんな訳ないか…。


彼女の立場からしたら、彼氏の部屋に女の子が住むなんて嫌だよね。


深に聞いてみようと思ったけど、


深が帰ってきたのは夜中の3時頃で


私は深い眠りについていた。