「風花…」


「ばーちゃん…」


ばーちゃんが私の横に来て、ギュッと抱きしめてくれた。


「風花………ごめんね…ごめんね…風花ごめんね…」


ばーちゃん…?


何で謝るの……?


私…


行かなきゃダメなの…?


ここにいたいって言っちゃダメなの…?


「深君のところに…行きなさい…。大学に行かせてもらいなさい…風花はここにいるより深君といた方がいい」


「勝手に決めないでよ…突然過ぎるよ…」


何でそんなふうに言うの…?


私の気持ちはどうでもいいの?


ばーちゃんの体をドンッと押して離れた。


「じーちゃんもばーちゃんも…お母さん達と一緒だね……。お母さんとお父さんも…私がいらなくなってここに預けた。ばーちゃん達も私なんか…いらないんだっ………」


私はどこに行ってもいらない子…


きっと深の家に行ったって…また出ていく事になる…


“厄介者”


もうやだ…


どこにも行きたくない…


行きたくないよ…。


「風花…」


立ち上がった私を、深が呼んだ。


「なに…」


勝手な深とも、もう口を聞きたくない。


深は変わった。


あの頃の深は、もっと優しかった。


私が泣いたら涙を指で拭ってくれた。


私の話を真剣に聞いててくれた。


こんな強引なやり方、深らしくない。


「なるべく早く荷物をまとめてほしい。学校には俺が送り迎えをするから。何も心配はいらないよ」


深の言葉を聞きながら居間を出た。


ばーちゃんが、深に何度もお礼を言っていた。


“ありがとう”って。


それにもすごく腹が立って、また涙が出た。


でも突然状況が変わる事には慣れっこだから…。


私一人だけの意見じゃ何も変えられない。


お父さんとお母さんに、


ここに預けられる時もそうだった………。


誰も私の気持ちなんて


聞いてくれないんだ…。