放課後のブランコ

ばーちゃんが深と私にジュースを出してくれて、久しぶりに深の顔をじっくり見た。


「あんまりジロジロ見ないでくれる?恥ずかしいだろ?」


顔を背ける深。


私だって恥ずかしいよ。


さっきの加瀬君と私を、いつから見てたんだろう?


聞くのが怖い…。


「学校は楽しいか?」


「…うん」


いろいろ怖い思いもしたけど、明日からはまた平穏な日々が戻ってきそう。


「そっか…。ま、卒業まであと少しだし転校よりもこっちまで通うほうがいいか…」


え?


転…校って言った?


「何??転校って?」


「あ、いや。こっちの話。おじいさん、まだかな」


深が立ち上がって、ばーちゃんのいる台所へ向かった。


こっちの話?


私の話じゃなかったのかな??


何だろ、何だか変な感じ。


そうだ、ばーちゃんに聞きたい事があったんだ。


私も台所に向かった。


深はもういなかった。


「深は?」


「車に何かを取りに行ったよ」


そっか。


「ねー、ばーちゃん」


「何だい?」


「私って、小2の冬休みにここに泊まりに来てた??」


私がそう聞いたら、ばーちゃんが青ざめた顔をして振り返った。


「思い出したのかいっ?!」


そんなにビックリする事??


「思い出せないから聞いてるの!私は加瀬君に聞いたんだ。加瀬君、子供の頃の私に会ってるんだって」


ばーちゃんが、怖い顔をして言った。


「そんなの知らんよ。その子の勘違いじゃないのかい。そんな話に惑わされちゃいかんよ。あそこの子は本っ当に昔っから嘘つきだわ」


嘘…?


加瀬君が嘘を言ったって事??


そんな感じじゃなかったけどな。


「あ、おじいさんが帰って来たみたいだね」


ばーちゃんが、そそくさと台所を出て行った。


玄関を見たら、笑顔の深と不機嫌なじーちゃんが靴を脱いでるところだった。