放課後のブランコ

「俺も、止めれてよかった。怪我なんかさせたらこっちが不利だぜ?」


そうだよね。


私の気の強さはじーちゃん譲りかな。


「はぁ〜また囲まれたらどうしよう」


ポロッと本音が出た。


「また助けてやるよ。ってかそんな事させねーし」


自信満々で笑う加瀬君を見てたら本当にもう大丈夫なような気がした。


私って、流されやすいのかな…。


パンッと自分の頬っぺを叩いた。


二人で学校を出て、どちらともなくあの公園に寄った。


他愛のない話しをしてるだけなのに、まだ帰りたくない。


進路の話しになってあの家を出てくと言ったら、加瀬君が慌ててブランコから立ち上がった。


「何でだよ?!」


「何でって…出て行かなくちゃいけないんだもん」


「はぁ?!別にいいだろ!じぃちゃん何考えてんだよっ」


「きっと…ゆっくりしたいんだよ…」


私がいなくなれば…ばーちゃんと二人でゆっくりとした時間を過ごす事ができる。


ばーちゃんも、早起きしないでいいし、自分達の好きなご飯だけを作ればいいし。


二人とも、らくになる。


「私…自分が厄介者だったって事にやっと気付いたんだ…」


そう言って笑ったら、加瀬君が私の前にひざをついてしゃがんだ。


「いなくなろっか…?」


「え?」


ビックリ…どういう意味?


「俺も厄介者。親も俺がいなくなれば離婚できるし風花もここからいなくなるなら…、一緒にいなくなろう?」


本当に………


そうしてもいい気がした。


また流されてるのかもしれない。


でもここからいなくなって、


今自分が抱えてる悩みも全て捨て去りたい…


そう思ってしまう。


「本気………?」


そう聞いたら、加瀬君が真剣な顔をして頷いた。


そして、私の手をギュッと握った。


加瀬君から目をそらす事ができない。


どんどん加瀬君の顔が近付いてきて、


私も加瀬君の手を握り返そうとした瞬間だった。


背後から…懐かしい声で誰かが私を呼んだ。


「風花っ!」