放課後のブランコ

「風花…、小学2年の冬休みにばぁちゃんちに泊まりに来てたろ…?」


小学……2年の冬休み………??


ばーちゃんち………??


一生懸命思い出してみたけど、小学2年の冬休みの事なんてこれっぽっちも浮かんで来ない。


思い出せない。


「ごめん………」


「覚えてねぇかー…」


そう言って、加瀬君が肩をガクッと落とした。


「ごめんね…」


「いーよ…」


「続きを話して」


「おう」


加瀬君がちょっとだけ恥ずかしそうに話してくれた事。


過去の私………を、加瀬君は知っていた。


「俺んち、あの頃は父ちゃんと母ちゃんが仲悪くていつも喧嘩しててさ、その喧嘩を見たくなくていつもあの公園に逃げてた」


あの公園て、


海が見渡せるあの公園の事かな…。


「そこにさ、小2の冬…いつも風花がいた」


「わ、わたし??」


「そう。“ふうか”ってばぁちゃんが呼んでた」


小さい頃…


ばーちゃんちに遊びに来た記憶は一つもない。


「本当にそれ、私?」


「間違いないよ。今と顔も変わってない」


「それってどういう意味?!」


成長してないとでも言いたいわけ?!


「怒るなって…。昔と変わらずかわいいって事だよ」


うぅっ………


そう言われるとは///。


「俺さぁそん時、風花に意地悪ばっかしてて、ばぁちゃんにいつも叱られてた。お前すぐ泣くし、でもすげぇ生意気で意地っ張りで、それがまたかわいくて・・・」


か、顔が赤くなりそう。


過去の話しなのにっ…。


「風花といたあの冬休みは本当に楽しかった。今でもあの冬休みだけは特別。その冬休み最後の日だったかな…………」