戻るよ。


言われなくても戻る。


でもその前に。


「じーちゃん…」


「何だ」


「心配しなくても…卒業したらちゃんとここを出てくからいいよ」


「ふんっ、わかっとるならいいわ」


わかってるよ…。


ちゃんとわかってる。


だからもう、そんなに不機嫌にならないでほしい。


私がいけないのかな?


私のせいでじーちゃんもばーちゃんも気苦労が絶えないよね。


ここに預けられてから、


人の顔色ばかり伺うようになった。


わがままを、我慢するようになった。


じーちゃん、ばーちゃんになるべく迷惑をかけないようにって、


いつも自分に言い聞かせてきた。


それなのに、じーちゃんにとってやっぱり私は厄介者なのかな。


そんなに出て行ってほしい…?


自分の部屋に戻る前に、晩御飯を作るばーちゃんのとこに行った。


「ばーちゃん………」


「風花…」


ばーちゃんが気まずそうに私を見た。


「おじいさんの言う事は気にせんでいいでね。おじいさん、ちょっと疲れとるだけだで…」


疲れてるのも私のせいかな…。


でもあの日からじーちゃんの気持ちが変わってないって事は、


やっぱり本気で言ってるんだろうな。


本当に私、


ここを出て行かなくちゃいけないんだ。