放課後のブランコ

加瀬君の後ろ姿を見送ってから家に入ったら、ちょうど電話が鳴った。


ばーちゃんからだった。


じーちゃんと二人で出かけてて、少し遅くなるから先にご飯を食べてろって。


台所には、珍しくチャーハンが用意してあった。


急いで作って出て行ったみたい。


また老人会のカラオケかな。


特に深く考える事なく、チャーハンを食べて二人の帰りを待った。


二人が帰って来たのは8時を過ぎた頃。


玄関まで走った。


「おかえりっ」


「あぁ、ただいま」


いつもと変わらないばーちゃんの笑顔とじーちゃんの不機嫌。


「ご飯は食べたのかい?」


「食べたよ!おいしかった」


「ならよかった」


「ばーちゃん達は食べて来たの?」


「いいや、今からなんか作って食べるよ」


そうなんだ。


老人会ならいつも食べて来るのに、今日は違ったのかな。


「風花」


居間にいるじーちゃんに呼ばれた。


「なに?」


「こっちに来い」


何だろ。


居間に入ってじーちゃんの前に座った。


「なに??」


「卒業後の進路は決めたのか?」


その話しか…。


「就職するよ」


「どこでだ?」


「まだわかんない」


「わかんないとは何だっ!真剣に考えとるのかっ!」


帰って来てそうそう何でそんなに怒ってんのっ?!


じーちゃんの気分屋にもいい加減腹が立つ。


「冬休みが終わってから就職先を探すのっ。先生にもちゃんと言ってあるから大丈夫だよっ」


もうっ!!


じーちゃんと睨み合ってたら、台所からばーちゃんの声が聞こえてきた。


「おじーさん、そんなに焦らなくても大丈夫ですよ…!風花っ、部屋に戻ってええよっ」